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渡島駒ヶ岳  フィールド&実験室・メニューに戻る

標高500m付近から山頂をのぞむ。カラマツが優占している。

 渡島駒ヶ岳は1929年に大きな火山活動があり,山体に大量に噴出物を堆積させ,軽石流の流下もあって,植生を大規模に破壊した.
 噴火から70数年が経過した現在,駒ヶ岳山麓にはカラマツ人工林や発達した広葉樹二次林が分布し,山体中腹ではカラマツを主としカンバ類,ドロノキ,ヤマナラシ等の広葉樹類を交えた天然林が再生してきている.

 特にカラマツは山麓から頂上付近の尾根部までにわたってほぼ山体全域に侵入しており,移入種でありながら自生する先駆性広葉樹類をしのいだ生育を示し,広い標高域にわたって景観的にもっとも優占する樹木種となっている.

 大規模な裸地に典型的と言ってよい幾つかの先駆性樹種が侵入していながら,優占しているのはカラマツである.なぜカラマツなのだろう。


標高600m付近。軽石礫に成立したカラマツ林分。

 火山灰の堆積と大規模な軽石流攪乱によって特徴づけられる駒ヶ岳の立地特性と,そこに生育する樹種の生理生態的性質の吟味をとおして,その疑問に答えてみたいと思っている.

 これまでに,まず林分構造を明らかにすることからはじめ,次に,侵入過程を推察するために齢構造をみた.カラマツがサイズで優勢であることが確かめられたので,その要因となっている成長上の特徴をより理解するために,稚樹の器官量配分,当年生のシュートや一次枝レベルでの生残を観察した。

 これらによりカラマツに比べ他の広葉樹類の成長により強い制限がはたらいている可能性を示した.成長の違いを生じさせる原因としては,水分ストレス,栄養ストレスを想定し,研究を継続している。また,樹木の侵入・定着とそれに関わる菌根菌類の役割も課題である。

 成果は得られつつあるが,新たな課題も多い。当初の疑問に対する答えも,当然まだ満足のゆくものではない.ストレスに対する反応特性という面から樹木の種特性を比較検証し整理して行きたい。物理的な環境ストレスが高い場での植生復元技術に貢献しうる研究を目指している。
標高800m付近。山頂近くまで,カラマツが生育している。低木群落はミネヤナギ,シラタマノキなど。
噴火口。活動は活発で今も噴火の危険があり,一般の登山は禁止されている。調査にも許可が必要(平成11年度現在)。


関連した研究成果の一部は(研究ノート)を参照してください

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